死後事務業務委任契約

はじめに

自分の死後に、葬儀や納骨、遺品の処理、その他事務手続を誰に頼めばいいか、身寄りのない方々の中には、不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。

死後の手続きを第三者に依頼する「死後事務委任契約」が近年、注目されています。今回は、死後事務委任について、簡単に説明させて頂きます。

死後事務委任契約とは?

死後事務委任契約は、死亡届の提出や、入院費用等の精算、葬儀の手配、遺品の整理、その他事務手続等、死後の各種手続を行う契約です。

当事務所が定期的に開催している相談会でも、自身が亡くなった時の事務手続をどのようにすれば良いか、ご相談をいただくケースが少しずつ増えてきております。

高齢化が加速し、死後事務委任契約の需要は高まっており、当事務所も、開業してから3件ほど、死後事務委任契約を締結し、実際に死後の事務手続を行ったケースもございます。

委任する内容は、原則として自由に決めることができますが、契約内容を確実に実行してもらうためには、我々のような法律の専門家に依頼し、公正証書を作成するのがおすすめです。

費用は、専門家や依頼者の状況によって価格は異なりますが、公正証書の作成に数万円、手続に伴う費用は30万円から60万円ぐらいが相場だと思います。

実際、身寄りが全くいらっしゃらない方の事務を担当させていただいたことがありますが、全体で、二週間から一ヶ月程度の工数が発生しました。

一般的に、身寄りのない方が無く、遺体の引き取り手がない場合、遺体は自治体が火葬し、遺骨は無縁納骨堂などに保管されます。

決して安い金額ではありませんが、葬儀屋納骨等、その他遺品の処理に希望がある場合は、死後事務委任契約を締結されることをお勧めします。

どのような準備をしたら良いか?

では、死後事務委任契約を結ぶ場合、どのような準備をしたら良いでしょうか。

まず、葬儀を行う場合は、宗教を含めどのような葬儀をすれば良いか、予算感も含め、事前に整理しておく必要があります。余裕があれば、葬儀会社に見積もりを依頼しておくことも良いでしょう。

最近では、手間も費用もかかるので、墓も戒名も希望されない方もいらっしゃいますが、少数でも身寄りの方がいらっしゃる場合、その方々の感情もありますので、万が一の時のために、十分な議論をしておく必要があります。

また最近では、オンラインで手続を行う金融財産や知的財産の処理や、パソコンやハードディスクのデータの処理等、デジタル遺産の処理も問題になりやすく、いざ対応しようにもパソコンやスマートフォンのパスワード等がわからず、全く対応できないケースもあります。

特に重要な手続が必要な場合は、守秘義務が課される法律の専門家に依頼するのが良いでしょう。

トラブルに発展しないためにも、死後事務委任契約の存在は、親族がいる場合には、可能な限り伝えておくことが望ましいです。

死後、速やかに契約内容を履行してもらうには、事後事務委任契約をした相手の存在を、早く周囲に認知してもらう必要があります。

普段から、契約の相手先を記したノート等をわかりやすい場所に置いておけば、万が一の際も安心です。また、安否確認の方法も事前に決めておくことも重要です。

まとめ

今回は、死後事務委任の概要について、お話させて頂きました。

万が一時のために、以下の内容を決めておくと良いでしょう。

  • 万が一の時に連絡してほしい相手は誰か、事後に知らせてほしい相手は誰か
  • 葬儀はどのように行うか、通夜や告別式は必要か
  • 納骨や、墓、戒名等の希望
  • 重要書類の所在、重要なデジタル遺産がある場合は、パスワードや、保管場所
  • 身寄りがない場合、残った財産をどのようにするか

当事務所では、定期的に各地でセミナー活動をやっております。将来のことでご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください!

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