外国人技能実習制度が変わる?技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が最終報告書たたき台を公表!

こんにちは。行政書士の中田 茉以子です。

東京深川行政書士事務所では、国際業務として日本に滞在する外国人の在留資格の手続に力を入れています。

外国人技能実習制度は1993年から、「技能実習」の在留資格で日本に在留する外国人が報酬を伴う実習を行う制度です。

法務省出入国管理庁によると、日本で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設されたとのことですが、実習生が所在不明になる等の様々な問題がありました。

そこで、国では本制度の抜本的な見直しを図るため、有識者会議を2022年12月から開催し、2023年10月に最終報告書のたたき台を公表しました。

(参考URL https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/03_00004.html

今後の同制度がどのように変貌する可能性があるか、ご紹介しましょう。

技術や知識の移転から「人材確保」へ転換

これまで、技能実習制度は建前と本音の狭間で揺れ動いてきた歴史がありますが、有識者会議の見直しにあたっての基本的な考え方で、本音の部分が前面に押し出されることになりました。

地方や中小零細企業を中心に人手不足が深刻化し、外国人が日本の経済社会の担い手となっているという実情を認めるとともに。国際的な人材獲得競争が激しさを増している中では、外国人材の確保について正面から検討すべきと提言しています。

そして、技能実習制度を発展的に解消し、人手不足分野における人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設することを提言しています。

新制度では、未熟練労働者として受け入れた外国人を3年の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成するとされています。

新制度から特定技能1号への移行条件としては、次の2点が掲げられています。
①技能検定3級等又は特定技能1号評価試験合格
②日本語能力A2相当以上(日本語能力試験N4合格等)
これらに加え、当分の間は相当講習受講も可との提言がされています。

また、試験不合格となった者には再受験のための最長1年の在留継続を認めると付言されています。

つまり、これまでは技能実習期間を経過して母国に技術や知識を持ち帰るという建前がありましたが、これからは、日本で働き続けることを前提にした制度設計がなされることになりそうです。

自己都合による転籍が広く認められるようになる

現行の技能実習制度では、限られた期間内に計画的かつ効率的に技能等を修得する観点から、一つの実習先で実習を行うことを原則とし、人権侵害行為等の「やむを得ない事情がある場合」を除き、転籍(実習実施者の変更)が認められてきませんでした。

そのため、ミスマッチが起きたときに、いわゆる実習生の「失踪」が生じ、大きな問題となってきました。

新制度では、この「転籍」が認められる範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化するとともに、一定要件(同一機関での就労が1年超・技能検定基礎級合格・日本語能力A1相当以上等)を満たした者は本人の意向による転籍も認めることとなりそうです。

また、転籍について監理団体・ハローワーク・技能実習機構等による転籍支援実施が提言されています。

まとめ

今回のコラムでは、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議が最終報告書たたき台をご紹介しました。

国会での議論等でこのたたき台から変化する項目もあるかと思いますが、外国人技能実習制度が大きく変貌することは既定路線のようです。

東京深川行政書士事務所では、新制度に備えたサポートを行ってまいりますので、お気軽にご相談ください。

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