旅館業・民泊専門行政書士が教える!民泊・旅館業申請手続の概要をお伝えします

はじめに

こんにちは、東京深川行政書士事務所です。弊所は東京都江東区に位置し、数ある許認可の中でも、特に旅館業や民泊を得意としており、2023年11月以降は、毎日何らかの相談を、お問合わせフォームや、公式LINE宛にいただいております。

本コラムでは、旅館業や民泊手続の基本について、お伝えいたします。ここでは、民泊を中心に解説はしておりますが、内容は旅館業と概ね共通するため、旅館業でご検討の方も、是非ご参考ください。なお、このページでは便宜上、「旅館業」と「民泊」をまとめて「旅館事業」と記載しております。

民泊とは

民泊とは、広義では、一般の住居に泊まることを意味しますので、本来は有料であるかどうかは問いません。しかし、近年マスメディアなどで紹介されて話題になっている「民泊」とは、新たな事業としての「民泊」です。つまり、自分が居住用に使用している家や別荘、投資目的で所有している住宅等を、Airbnb(エアビーアンドビー)をはじめとする民泊仲介サイトに掲載することで、観光客などに紹介し、宿泊施設として有料で貸し出すことを指します。

2017年6月に成立した「住宅宿泊事業法」いわゆる民泊新法により、法律用語としての民泊が定義づけられ、「住宅宿泊事業」と称されることになりました。法律用語としての民泊とは「住宅を活用して宿泊料を受けて、宿泊サービスを提供すること」を言い、かつ「②旅館業に基づく営業者以外の者が営むもの」のすべてを指します。ただし、現在においても旅館業と住宅宿泊事業が区別されず、誤って使われていることに留意が必要です。

民泊が拡大した背景には、大きく次の2つです。まず、増加し続ける外国人観光客の受け入れ先として、需要度が高くなっているという点です。宿泊施設が足りていないという点は、非常に深刻な問題で、実際にコロナ禍の前は、都内のホテル価格は非常に高騰していました。新しいホテルを建設するという方法もありますが、様々な法的規制などとの兼ね合いがあり、簡単には改善されませんでした。こうした需要に応えようという動きが盛んになったことが、民泊流行の一つのきっかけです。

もう1つの理由は、空き家対策の一手段と考えられている点にあります。人口が減少に転じた現在の状況下では、住宅は飽和状態になっています。住宅に誰も住まなくなり、そのまま放置されてしまう、という現象が、全国各地で後を絶たないのです。そこで、空き家となった建物を民泊に活用し、収益化しようと考えるようになりました。単なる空き家とせず、利益も生むのであれば、非常に有効な資産運用方法だという認識が広がりました。特段空き家を持っていない方でも、自ら空き物件を探し、民泊として事業を開始する方も非常に増え、そのような方が多々をターゲットとするセミナーも増えました。

あくまで空き部屋の利用を目的とした法律のため、年間180日以内の営業しか認められていなという最大の欠点があります。

ただ、仮に旅館業を開業しても、初年度から180日以上埋まるケースは稀ですので、慣れていない方は、やや要件が緩やかな民泊から始めてみる、という考え方もあります。

宿泊事業をするには、行政手続が必要

旅館業とは、宿泊料を受けて、人を宿泊させる、営業行為です。ここにいう営業とは、不特定多数の人を対象に「反復継続して有料で宿泊させる行為」を指し、行政の許認可を受ける必要があります。旅館業法の規制対象になる場合、衛生設備や消防設備などが義務づけられており、保健所の許可を受ける必要があります。

衛生設備・消防設備を備える必要があり、リフォーム費用が発生する必要であることを心得ておく必要があります。場合によっては建物の用途変更も必要になります。これまでに比べて、若干規制緩和傾向にはありますが、それでも設備・構造要件は厳しく、許可取得には依然高いと言えます。

旅館業は「許可」に対して、民泊は「届出」であるため、民泊で行う場合は、一定程度要件は緩和されますが、決して簡単な手続ではないことは、事前にお伝えしておきます。

旅館業法に関する論点

よく、旅館業の許可がいるかどうかお問合せをいただくことがありますので、この場でお答えいたします。

年1回開催されるイベントのため、自宅を提供する場合は、反復継続性が認められないことから、営業には該当せず旅館業法上の許可を受ける必要はありません。また、無償で知人を自宅へ泊める行為も、旅館業にはあたらず、やはり許可は不要です。

一方で、「Airbnb(エアビーアンドビー)」といった民泊を仲介するサービスに宿泊施設を掲載した場合、たとえ実際には営業目的がなかったとしても、不特定多数の人を対象として反復継続して宿泊させる意思があるものと判断されてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

また、賃貸業との違いについてお問い合わせいただくことがありますが、旅館業と賃貸業は、全く異なり、「衛生上の管理責任の所在」「宿泊者が、その宿泊する部屋に生活の本拠があるか否か」という点において異なります。

旅館業であれば、衛生上の管理責任は事業者にあり、宿泊者はその宿泊する部屋に生活の本拠を有しません。これに対し、賃貸業では、管理責任は原則として借主にあり、借り受けた部屋に生活の本拠を有していることになります。

お問い合わせいただく内容として、旅館業や民泊の手続を経ずにできないかお問い合わせいただくことがありますが、旅行者は、宿泊する部屋が生活の本拠とはしませんから、合法的に宿泊事業を行うには、やはり適切な行政手続きを経る必要があります。

民泊や旅館業は失敗も多い

旅館業や民泊や民泊の開業は、一定程度、何らかの工程で失敗される方が多く、正確な値は計算しておりませんが、3割近くの方は、届出や許認可申請に至らないケースがあります。

その原因は、大きく以下の通りです。

  • 宿泊事業の見通しが甘かった
  • 専門知識を有する者に、事前相談せず、物件の取引を行なった

私が過去に経験した失敗事例では、大きく上記2つが失敗原因として挙げられていますが、自らの判断で各手続を進めてしまい、手詰まりしてしまい相談に来られた方は、弊所でもどうすることもできず、断念せざるを得ないがほとんどです。

特に、物件が用途地域の制限に抵触していた場合は致命的で、物件が建築基準法に適合しない場合も、事案によってはどうすることもできない場合があります。

よく、旅館業や民泊のセミナーでは、「民泊は簡単だ」と謳い、コンサルティング費用を集めている業者が一定数ありますが、宿泊の手続は、片手間でできるほど甘いものではありませんし、一定程度資金が必要です。

十分な予算の見積もりをせず、ギリギリの資金で開業しようとする方は、本当に手続を進めて良いか確認することもあるほどです。

旅館関係の手続は、物件によりますが、手慣れていても5〜15人日、民泊でも、場合によっては10人日程度の工数が標準として発生し、決して片手間でできる手続ではないことは、ご理解いただきたいです。

どこで開業するか?

旅館事業を始めるにあたり、まずはどこで開業するかを検討する必要があります。

これまで、様々な地域で開業のサポートをさせていただきましたが、その中でも東京都内やその近隣の地域は、申請難易度は高めです。

一方で、都心部から100km程度離れた地域は、比較的申請手続がスムーズに進むことが多いです。

実際に開業し、成功されている方も、都内で開業するより、やや地方寄りで開業されている方が多い傾向です。

都心での開業が苦戦するのは、そもそも許認可や届出までの道のりが他の地域よりも高いことと、初期投資額の高さが挙げられます。

この辺りの実態は、ご面談時にご相談いただけますと幸いです。

手続の流れ

旅館業や民泊の手続は概ね以下の通りです。細かい手続の流れは、弊所の他のコラムでもご紹介しておりますので、併せてご覧ください。

  1. 行政庁への事前相談
  2. 消防適合通知書の入手
  3. 行政への書類の提出

まず、旅館関係の事業を始める場合、役所への事前相談を行うところから始めます。

慣れていない方は、そもそもどこの部署に、どのような相談をすれば良いかもわからない方も多いですので、そのような場合は、多少費用が発生しても、行政書士に依頼されることを強くお勧めします。

旅館事業は、初動対応を誤ると、申請にたどり着けないことがあるからです。民泊は、関連図書をいくつも読み重ね、なんとか自力で届出が完了する方もありますが、全く業界初心者で、旅館業の申請を行おうとするのは、無謀という他ありません。

旅館関係の初動対応のアドバイスを行政書士に求める場合の費用相場は3万円から5万円程度です。

この費用支出を躊躇した結果、費用の10倍以上の損失が発生した事例もありますので、旅館事業に関する知見が全くない方は、高額な損失を出さないためのお守りとして、早めに知見がある方に相談するのが良いでしょう。

旅館事業を始めるにあたっては、「衛生管理」「建築」「消防」を管轄する行政庁に事前相談にいくところから始まります。

具体的には、保健所、役所の建築係、管轄する消防署です。

この相談だけでも丸一日、場合によっては二日見ておくと良いでしょう。

事前相談に行くにあたり、物件の図面は必須です。

物件の図面が無い状態で事前相談をしても、全く話が進まないので、一部決まっていない事項があっても、(物件が構想段階であっても)図面だけは必須だとお考えください。

保健所、建築、消防で主にポイントになる点は、ある程度決まっていますが、申請する地域によって若干運用が異なりますし、地域によっては上乗せの規制がありますので、留意が必要です。

まとめ

少し長くなりましたので、ここまでの内容をまとめたいと思います。

  1. 民泊の定義や、民泊の特徴について説明いたしました
  2. 旅館事業の手続は、決して簡単なものではなく、様々な知識が必要であるため、原則として専門家の協力が必要。独力で進めてしまったがために、事業を断念するリスクもある。
  3. 旅館事業を始めるにあたっては、「衛生管理」「建築」「消防」を管轄する行政庁に事前相談にいくところから始まる。

細かい内容については、別のコラムに詳しく記載しておりますので、併せてご参照いただけますと幸いです。

タイトルとURLをコピーしました
LINELINE