日本の労働力不足の救世主!特定技能の概要及び技能実習との違い

こんにちは。行政書士の中田茉以子です。

日本の生産年齢人口(15歳~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少しており、総務省の推計によると2050年には5,275万人になるとされています。

介護、建設業、宿泊業などの分野が特に労働力不足が深刻化しており、これらの分野について外国人の労働力を活用するため、2019年から「特定技能」という在留資格が開始されました。

本コラムでは、特定技能について概要を解説するとともに、類似する制度である技能実習との違いについてご紹介します。

①特定技能の法的根拠と技能水準

特定技能とは、日本への全ての人の出入国及び日本に在留する全ての外国人の公正な管理を図るとともに、難民の認定手続を整備することを目的とした「出入国管理及び難民認定法」第2条の2を受けた別表第1の2に定められた在留資格のひとつです。

外国人の就労が認められる在留資格にはこのほかに、技能実習、高度専門職などがありますが、出入国在留管理庁によると、これらの在留資格の技能水準の関係は次のとおりとされています。


(出典)出入国管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf

②特定技能の基本的な運用方針

外国人労働者が無制限に日本国内に流入すると、日本人の雇用や賃金に多大な影響を及ぼしかねません。

そこで、同法第2条の3には、政府が「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」を定める責務について定められており、最新の閣議決定した内容が出入国管理庁に掲載されています。

参考URL
https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/nyuukokukanri01_00132.html

その中で、特定技能の意義について、「中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築すること」と記されています。

つまり、特定技能はあらゆる手段を講じても日本人の人材確保が困難となっている分野に限り、一定の専門性や技能を持った外国人を労働者として受け入れるという制度であり、分野と能力について制限が設けられています。

③特定技能と技能実習の違い

特定技能は、これまでご紹介した通り、人手不足を解消するために外国人労働力を活用することを目的とした在留資格であり、専門性や技能について既に一定水準に達していることが求められます。

一方で、技能実習は「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」に目的が定められており、「人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識の移転による国際協力」とされており、実習開始時に知識や技術の水準は問われません。

従って、そもそもの目的が特定技能と技能実習とで異なっており、その目的に合わせて制度設計が図られています。

なお、技能実習で一定水準に達した外国人のうち両制度で重複する分野については、引き続き、特定技能として国内での在留が認められることがあります。

技能実習から特定技能への移行の雇用主側のメリットとしては、既に日本の労働環境になれた外国人に引き続き活躍してもらうことができることがあげられますが、賃金については同等の業務に従事し同等の経験年数を有する日本人労働者への報酬の額と同等以上を支払う必要が出てきます。


(出典)出入国管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf

まとめ

今回のコラムでは、特定技能の概要及び技能実習との違いについてご紹介しました。

次のコラムでは、特定技能で定められている分野と2つの区分について詳しくご紹介します。

東京深川行政書士事務所では、日本に滞在する外国人の在留資格の手続きや国外に居る外国人に関連する各種手続きを積極的にサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。

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