時効の意義と趣旨、取得時効と消滅時効について

本ページでは、時効についてまとめています。

知識レベルとしては、司法試験の範囲になるため、解説がないと意味がわからないかもしれませんが、実務上非常に重要で、説明させていただく機会も多いため、参考資料として掲載しています。

特に、債権トラブルが発生した場合に使用しますので、必要に応じて担当の専門家から解説を受けてご使用ください。

1 時効の意義

民法上の時効とは、一定の事実状態が永続した場合に、その事実状態が真実の権利関係に合致するものかどうかを問わず、その事実状態をそのまま尊重し、これをもって権利関係と認める制度です。

かかる時効は、権利の取得原因となる取得時効と、権利の消滅原因となる消滅時効と分かれます。

2 時効の趣旨

時効の趣旨は、さまざまな学説が対立していますが、通説は

1 永続した事実状態を尊重
2 証明の困難性
3 権利の上に眠る者は保護に値しない

といわれています。

3 時効による権利の得喪の要件

取得時効であれ、消滅時効であれ、およそ時効が成立するためには、一定の期間の満了などが必要です。

時効の完成

 取得時効 20年間の占有等

 消滅時効 知った時から5年間、行使できることができる時から10年間

4 時効の援用

時効の援用の法的性質には様々な学説がありますが、援用がなされた場合にはじめて権利の得喪が生じ、放棄がなされた場合にはじめて権利の得喪が生じないことが確定すると解されているのが通説です。

時効の援用とは、時効の利益を主張する意思表示(単独行為)です。

時効の援用権者は、「当事者」とされていますが、この「当事者」とは、時効により直接利益を受ける者と解するのが判例の立場です。

肯定例

・債務者、保証人、物上保証人、詐害行為の受益者

非定例

・単なる一般債権者、後順位抵当権者

*債権者による代位行使は可能
*時効援用の効果は、相対効

5 時効の効果

時効の完成および援用の効果は、権利の得喪で、時効の起算日に遡って生じます。

起算日とは、

・取得時効については占有を開始した時

・消滅時効については、権利を行使することができることを知ったときまたは権利を行使することができる時

*時効の利益は、あらかじめ放棄することはできない

*時効の完成後は、時効の利益の放棄は許される

*時効の利益の放棄をなすには、行為能力が必要

*放棄がなされると、当該時効の援用はできなくなり、効果は相対効

6 時効の完成猶予と更新事由

時効は、必ずしも完成するとは限りません。

一定の事由が生じた場合は、完成が一時猶予されたり、時効期間のカウントがリセットされて新しい時効期間が進行を始めたりすることがあります。

これらを時効障害といい、実務でとてもよく使います。

時効の完成猶予 主な場合

・裁判上の請求
・強制執行
・仮差押え、仮処分
・催告
・協議の合意

時効の更新 主な場合

・権利の確定等
・権利の承認

7 取得時効

所有権 10年間または20年間の占有
*善意は推定されるが、無過失は推定されない

所有権権以外の財産権 10年間または20年間の権利行使

8 消滅時効

債権の消滅時効の起算点には、客観的起算点と、主観的起算点がある。
主観的起算点から5年間、客観的起算点から10年間

消滅時効の客観的起算点

期限付債権 期限到来時
期限の定めのない債権 原則債権の成立時
返済期限の定めのない消費貸借上の債権 契約成立から相当期間を経過
停止条件付債権 条件の成就
解除条件付債権 債権の成立時
履行不能に基づく損害賠償請求権 本来の債権の履行を請求できた時
契約の解除による原状回復請求権 解除権を行使した時

例外

不法行為による損害賠償請求権

損害および加害者を知ったときから3年間
不法行為の時から20年間

人の生命または身体を害する不法行為

損害および加害者を知ったときから5年間
不法行為の時から20年間

債務不履行による損害賠償請求権
権利行使可能を知ったときから5年間
権利行使可能の時から10年間

人の生命または身体を害する債務不履行
権利行使可能を知ったときから5年間
権利行使可能の時から20年間

*確定判決等で確定した債権は、原則、一律で確定した日の翌日から起算して10年間となる。

9 消滅時効にかからない権利

主に
・所有権
・占有権
・担保物件

*債権以外の権利の消滅時効期間 権利を行使することができる時から20年間

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