特定技能の12対象業種と2区分とは?

こんにちは。行政書士の中田茉以子です。

前のコラムで特定技能の概要と技能実習の違いについてご紹介しました。

今回のコラムでは、特定技能について業種と区分について詳しく解説します。

①特定技能の対象となる12業種

「出入国管理及び難民認定法」を受けて閣議決定された最新の「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」によると、令和5年11月時点で特定技能として対象となる特定産業分野は次のとおりとなっています。

  1. 介護業
  2. ビルクリーニング業
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野(2022年に統合)
  4. (統合のため削除)
  5. (統合のため削除)
  6. 建設業
  7. 造船・舶用工業
  8. 自動車整備業
  9. 航空業
  10. 宿泊業
  11. 農業
  12. 漁業
  13. 飲食料品製造業
  14. 外食業


(出典)出入国管理庁「外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001335263.pdf

このうち、季節による繁閑が大きい農業と漁業については、直接雇用だけでなく派遣雇用も認められています。

受け入れ枠については人手不足の見込に応じて各分野で5年間の最大人数が定められています。

人材基準については、各分野に応じた技能試験に加え、日本語に関する試験が定められています。

従事する業務については、分野によって制限が加えられており、例えば、介護分野で訪問系サービスは対象外であったり、飲食料品製造業では酒類の製造が除外されていたりします。

②特定技能1号とは

特定技能には、1号と2号の資格区分があり、それぞれ求められる技能水準や在留制限が異なります。

特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格であり、2023年9月末で約19万人が国内に在留しています。

国籍別在留外国人数をみると、ベトナムが過半数の約10万人、次いでインドネシアが約3万人、フィリピンが約2万人となっています。

在留期間は1年を超えない範囲内で、法務大臣が個々の外国人について指定する期間とされており、通算で5年まで更新が可能です。

技能水準は前にお示しした試験等で確認されますが、技能実習2号を修了した方は免除されます。

日本語能力の水準も、生活や業務に必要な日本語能力について試験等で確認されますが、技能実習2号を修了した外国人は免除されます。

また、家族の帯同は基本的に認められません。

③特定技能2号とは

特定技能2号は特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格であり、2023年9月末の速報値で21人しか国内に在留していません。

対象となる分野は介護以外の11特定産業分野となりますが、速報時点では建設分野のみの実績となっています。

在留期間は6か月・1年・3年毎の更新で更新回数の上限はありません。

技能水準は試験等で確認され、日本語能力水準は試験等での確認が不要です。

家族の帯同は、配偶者と子に限り、要件を満たせば可能とされています。

但し、特定技能2号についてはまだ実績が少なく、現時点では活用が困難とされています。

しかしながら、既存の実績がある建設分野では「職長等教育」を含む「特定技能2号評価試験」の準備が進められているなど、徐々に制度が整えられていく兆しが見えています。

まとめ

今回のコラムでは、特定技能の業種と2つの在留資格区分についてご紹介しました。

特定技能については、国内の人材不足の状況に応じて、定期的に制度が見直されていることに加え、政府の有識者会議では技能実習の発展的解消と特定技能への統合が示唆されており、今後の動向が期待されています。

東京深川行政書士事務所では、日本に滞在する外国人の在留資格の手続きや国外在住の外国人に関連する各種手続きを積極的にサポートしておりますので、お気軽にご相談ください。

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