相続を争族にしないために!3種類ある遺言書とは?

こんにちは。行政書士の菅 拓哉です。

遺言書(法律用語では「いごんしょ」と読みます)とは、誰に、どの相続財産をどのように引継させたいかを生前に、本人が指示する書面のことです。

遺言書がなければ、相続財産は相続人の間で法定相続分に応じて分割されることとなりますが、分割方法についてトラブルが生じ、仲の良かった兄弟姉妹が疎遠になることがあります。

こういった不幸な事態を防ぐため、遺言書を書きたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、日本国内で認められている3種類の遺言書についてご紹介します。

①自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が書面に「作成日」「遺言内容」「氏名」を手書きすることで作成した遺言書のことをいいます。

自筆証書遺言の最大のメリットは、いつでもどこでも作成できる手軽さにあります。

即ち、遺言書を作成したけれど、その後に何らかの事情があって変更したいというとき、思い立ったその日にすぐ変更することが可能となります。

一方で、書式や内容に不備があると、法的効力がない遺言書になってしまうというデメリットがあります。

例えば、〇年〇月「末日」と書かれている遺言書は日付が特定されるため有効とされますが、〇年〇月「吉日」とかかれている遺言書は日付が特定されないため無効となります。

また、署名に加え、押印(拇印も可)が必要とされています。

更に、「どの財産を誰に相続させる」という要件についても、細かい決まりがあります。

例えば、「銀行預金を子供たちに相続させる。」と書かれていた場合、どの銀行のどの口座の預金をどの子供に相続させるのかが明確でないため無効となります。

〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇 名義人〇〇〇〇の銀行預金を子Aに相続させる、といった内容が必要となります。

そこで、せっかく作成した遺言書の書式・内容について不備がないか、行政書士に手伝ってもらうことが重要となります。

なお、自筆証書遺言のもう一つのデメリットである、紛失、未発見、破棄、隠匿、改竄といったことにより相続時に遺言書が適正に開示されないリスクについては、「自筆証書遺言保管制度」により、法務局に保管してもらうことで解決できます。

【参考】自筆遺言保管制度について(法務省)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

②公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証役場の公証人に作成してもらう遺言書のことです。

遺言者は公証人に、遺言書の内容と相続財産を相談し、それに基づき、公証人が遺言書を作成します。

公正証書遺言での遺言書は、公証役場で保管されることとなり、自筆遺言保管制度と同様に保管上のリスクも解消できます。

但し、大きなデメリットとして、公正証書遺言の費用は、公証人手数料令第9条別表に基づき、目的の価額に応じた手数料がかかるため、相続対象となる財産が高額になると手数料も高額となることとなり、簡単に遺言書の変更を行うことが難しいものとなります。

③秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言者が遺言内容を記載した書面に署名・押印・封印した状態で公証人に提出する遺言書のことをいいます。

公証人にも遺言内容を知られたくない、けれども遺言書の存在について相続時に確実に知らしめたいというときに使われる遺言書です。

メリットは、遺言内容を公証人にも秘密にできること、公証役場で遺言書を作成したことが記録されることが挙げられます。

一方で、プロの目が通っていないため、不備があるときは遺言書の法的効力が発揮されないというデメリットがあります。

更に、手数料として約2万円を要します。

なお、秘密証書遺言は、自宅保管の自筆証書遺言と同様に、相続時に家庭裁判所の検認を受ける必要があります。

まとめ

今回のコラムでは、遺言書の3種類とそのメリット、デメリットを解説しました。

このほか、相続には法定相続分、遺留分といったルールがありますが、またの機会にご紹介しましょう。

東京深川行政書士事務所では、自筆証書遺言の作成についてプロの視点からサポートを行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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