行政書士が教える!キッチンカー開業方法と、許認可取得手続 開業準備編 その1

はじめに

こんにちは。東京都江東区の東京深川行政書士事務所です。弊所は、2022年3月に開業し、開業当初からキッチンカーの開業をサポートしてきました。

サポートさせていただいた出店者様は20名を超え、事前相談や、開業に関する相談は、50件以上対応させていただきました。

飲食店の店舗運営に関する情報は、書籍やインターネット等、様々ありますが、キッチンカーに関する情報はあまり多くありません。

本コラムは、2022年4月に公開し、度重なる修正を経て現在に至ります。

みなさまのお役に立てますと、非常に嬉しく思います。

キッチンカーの基礎知識

新型コロナウイルスの影響がひと段落し、街中で数多くキッチンカーを目にするようになりました。これまでは、大きなイベントや遊園地などで見ることが多かったキッチンカーですが、今ではスーパー、オフィス街、大学キャンパス、身近な公園でも見かけるようになりました。

定番だったメニューも多様化し、キッチンカーの車体や看板がおしゃれに塗装されていて、それぞれのオーナーの個性が伝わってきます。

まずは、「そもそもキッチンカーって何だろう?」という基本的な知識や、キッチンカーの特徴についてお話いたします。

キッチンカーとは?

まず、「キッチンカー」と「移動販売車」がよく混同誤認されるため、その違いについてお話いたします。

移動販売車とは、店舗以外のところへ、自動車等で運んで来た商品を販売する小売業です。

一方でキッチンカーとは、移動販売車の中でも一般的に「食品の調理設備を備えた車両」のことをいいます。

つまり、ただその場で商品を売るのではなく、「その場で調理したもの」を販売する移動販売車が「キッチンカー」です。

本コラムでは、後者である「キッチンカー」について、詳細に説明させていただきます。

キッチンカーのメリット

街中のいろいろなところで見かけるようになったキッチンカーですが、固定の店舗を持つ場合と比較しすると、様々な長所があります。

なかでも、初期投資額の低さと、機動力の高さは特に重要ですので、詳細に説明させていただきます。

初期投資額の低さ

店舗で飲食店をはじめるためには、かなりの初期投資が必要になります。

立地条件の場所にお店を借りる場合家賃や保証金だけでも高額になり、また厨房設備、内装、備品等にも費用が必要になります。

必要な資金の約3割を自身で用意し、300万円程度を日本政策金融公庫から融資してもらい、補助金やクラウドファンディングを上手に組み合わせ、開業の準備をするのが通常です。

弊所でも、これまでに様々な飲食店の開業をサポートさせていただきましたが、様々な条件が揃って300万円、通常は600-1,000万円程度の開業資金でスタートするケースが多かったです。

いずれにしても開業にあたり、多額の資金を用意する必要があり、事務手続もそれなりに煩雑です。

一方、キッチンカーで開業する場合、営業できる設備を持った車両を購入するのに200万円から300万円程度、その他は運転式を調達すれば良く、車両購入費は、調理する内容や車両の状態、走行履歴によって値段は変わりますが、初期費用の合計金額を、店舗開業と比較すると、半額から6割程度に抑えることが期待できます。

初期投資が低いため、投資額を早く回収できることと、万が一うまくいかなくても、最小限の損失で抑えることができます。

また最近では、SNS等でお店やオーナーの知名度を上げることができるので、一定程度情報を発信してから実際の店舗をオープンするというケースもあります。

機動力の高さ

キッチンカーは曜日や季節によって、お客様が多いところで営業することができます。

例えば平日はオフィス街で朝食や昼食の需要があり、しっかり場所を選定することができれば、安定した売り上げを出すことができます。

週末は、イベント会場や公園の近く等で売上が上がりそうなところに移動できますし、想像より売上が少ない場合は、出店場所を変更することができます。

店舗を持つと、顧客が来てくれるのを待つことになりますが、何らかの事情で人の流れが変わったりしても、そう簡単に違う場所に店を移すことはできません。

このようなリスクを避けられるのも、キッチンカーならではのメリットです。

キッチンカーは儲かるのか?

みなさまがもっとも気になる点が、「キッチンカーは儲かるのか?」ということだと思います。

この点について、行政書士の目線ではありますが、解説させていただきます。

キッチンカーは、しっかりと戦略を立て、実行することができれば、個人またはカップル夫婦で運営し、生活していく分には稼ぐことができるように思います。

一方で、キッチンカー一台で出すことができる売上には限界があり、大きく収益を出そうとする場合は、キッチンカーを複数台出店する必要があり、それなりの経営的センスが求められます。

特に、成功するかどうかは、以下にかかっています。

  • 会場準備段階から、業界に詳しい行政書士や中小企業診断士のサポートが得られているか
  • 出店に関する手続や法令に関する知識が一定程度あるか
  • 開業準備金が十分にあり、融資や補助金が受けられそうか
  • 提供するサービスが顧客に受け入れられるか
  • キッチンカーが比較的割安で手配できるか
  • 商品の原材料費が、販売価格の2〜3割程度に設定できるか
  • 出店地域に関する地理的条件や、競合他社の出店状況を把握しているか
  • 出店地域までの距離が遠すぎないか

これまでにサポートさせていただいた出店者の中で、売上から諸経費を引いた金額が一定程度残っているかたの共通点は、開業準備段階から専門家に助言を仰ぎ業界知識を仕入れ、比較的割安な金額でキッチンカーを手に入れ、出店地域に関する情報収集に意欲的な方々でした。

十分に利益を残すためには、一定程度の売り上げを確保し、いかに経費を抑えるかが重要です。当たり前のことではあるものの、特に開業準備段階において、必要以上にお金をかけすぎて負債を増やすしぎ、十分な利益を確保できない場合や、売上は一定程度あるものの、移動コストが高額なため、変動費が嵩んでしまい、結果として、利益が残らない等、出店者によって課題は様々です。

キッチンカーは、需要がある場所に存在していれば、特段広告費を投下しなくても一定程度売上が出せる商売ですので、開業し、需要がある地域で営業することができれば、開業初期段階から一定程度売り上げを出すことができます。

一方で、キッチンカーを一目見た時に、キッチンカーそのものに「気になる」と思ってもらえるか、顧客が一目見て「購入したい」と思える商品を開発できるかが大きな勝負どころです。

成功の要素は様々ですが、キッチンカーの見た目や、提供する商品が大きく勝負の成否をわけることになりますので、開業初期段階では十分に検討したいところです。

キッチンカーにはフランチャイズによる出店もありますが、フランチャイズへの加盟は、成功の決め手にはならず、フランチャイズに加盟しなくても、工夫次第で十分売り上げを出すことができますし、むしろフランチャイズ加盟により初期費用や固定費、損益分岐点が上がり、経営にマイナスに働くこともあります。

キッチンカーや商品の仕様がある程度確定してきたら、営業場所を検討することになります。

便利なのが、キッチンカーの出店場所を紹介するサイトです。

場所によっては、出店登録を行い、出店料を払う必要がありますが、キッチンカーが来ることが周知されている場所なのですので、営業しやすいです。

開業当初は、多少費用がかかっても、営業しやすい箇所で経験を積むのが良いでしょう。

また、都道府県や市町村といった各自治体が、公園の利用促進や魅力の向上のためにキッチンカーの出店を募集していることもあります。

開業準備が整い開業した場合、情報を集めることが非常に重要であることがお分かりいただけたかと思います。

キッチンカーで営業する際には、イベントや出店に関する情報をいかに効率よく集めるかがポイントです。

開業準備の流れ

先述内容とやや重複する箇所もありますが、キッチンカーを開業するための流れは、大きく次の4つのステップです。

営業開始には、個人差もありますが二ヶ月から半年程度の期間をかけて準備することが一般的です。

  1. 専門家や役所への事前相談
  2. 商材の確定、キッチンカーの購入検討、キッチンカーの仕様決定、補助金や融資の手続
  3. 行政への営業許可手続
  4. 営業開始

まず、キッチンカーを始める場合は、キッチンカーの出店に詳しい行政書士や中小企業診断士に相談を行い、必要な手続について助言を得る必要があります。

ある程度、業界に知見があり、どのような行政手続が必要か、知見がある場合は良いのですが、異業種からの参入で全く知見がない場合は、多少費用を支払ってでも、必ず専門家の助言を仰いでください。

キッチンカーの初期段階で失敗するとしたら、手続の存在や許可の要件を知らずに一人で進めてしまい、要件を満たしていないため、許可が取れなかったような場合です。

特に留意しなければならないのがキッチンカーの仕様です。自治体によって、仕様に制限が存在する場合があり、状況に応じて設備を整える必要があるのですが、事前に何も確認せず自身でキッチンカーの仕様を確定させて工事を行った結果、行政の求める基準に合致せず、再度工事をする必要となり、二重に費用が発生することもあります。

これまでに、「キッチンカーの営業を行いたいが、役所から許可が下りなかった」と相談をいただいたことがありますが、ほぼ全てのケースにおいて、キッチンカーの仕様に関する要件を事前に下調べしていないことが主な原因です。

繰り返しになりますが、初期段階でコストを削減するために、なるべく一人で進めたいという気持ちは十分に理解できます。しかし、キッチンカーの開業に必要な手続をしっかり理解していないと、そもそも開業ができず本末転倒です。

一定程度相談費用はかけてでも、開業に関する情報はしっかり集めることを強くお勧めします。

キッチンカーを営業するには、営業許可が必要

飲食店の経営経験がある方であれば、当たり前の話ではありますが、キッチンカーを営業するには、「営業する場所を管轄する保健所」で営業許可を取る必要があります。

過去に、キッチンカーの開業に関する相談を何件も受けておりますが、キッチンカーで販売する商品や、キッチンカーの仕様に注目してしまうあまり、営業に必要な各行政手続の存在を知らない、あるいは知っていても理解が浅いことが非常に多いです。

飲食店は街中色々なところにありますから、「その気になれば自分で何とかなる」と甘く考えられておりますが、移動販売ができるキッチンカーは、特殊な環境下で食品を販売するため、通常の飲食店以上に厳しいケースが大半です。

最初は自身で申請しようと役所に行ったものの、役所から指摘事項を複数貰い、結局途中から専門家にサポートしてもらうケースもあります。

特にキッチンカーの営業許可は「営業する場所を管轄する保健所」で営業許可を取る必要があるという点に、特に留意が必要です。

例えば東京都江戸川区の保健所で営業許可を取っている出店者が、今日は千葉県千葉市で営業したいと思っても、千葉市を管轄する保健所で許可を取っていない場合は営業できません。

キッチンカーの営業許可申請は、手続方法や手続に関する留意点を専門家から共有してもらい、2回目以降の手続は自分でできるようにするとともに、何か有った際には気軽に連絡し助言をもらえる体制を整えておくのが望ましいです。

キッチンカーは移動して営業することが前提ですから、いつ、どこに出店するかを事前に考え、日程にゆとりをもって許可を取っておくことを忘れないようにしてください。

また、2021年から改正食品衛生法(HACCP)の完全義務化が始まりました。キッチンカーもHACCPの導入が義務付けられています。HACCPに沿った衛生管理については、これだけでそれなりの情報量になるため、本コラムでは割愛します。

専門家や行政への事前相談を行う場合、提供する商品やキッチンカーの内容をざっくりと決めておくと良いです。

何も決まっていない状態で相談することも可能ですが、簡単でも概要が決まっていた方が有意義な相談時間になるでしょう。

ですので、先述した「専門家や役所への事前相談」と「商材の確定、キッチンカーの購入検討、キッチンカーの仕様決定、補助金や融資の手続」は、一部並行して行うことになります。

まとめ

本コラムでは、キッチンカーとはなにかを説明させていただき、営業にあたっては、専門家や役所への事前相談を経て、商材やキッチンカーの仕様が確定し、行政手続を経て開業にいたること。

特にキッチンカーの行政手続は、通常の飲食店以上に留意しなければならないことをお伝えしました。

次のコラムでは、もう少しキッチンカーの仕様について、説明させていただきます。

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