外国人雇用

こんにちは!東京深川行政書士事務所の中田 茉以子です。

現在の日本では、外国人労働者の存在はとても重要です。実際に事業主の方が外国人スタッフを募集または採用しようと思ったときに、どんなことに注意すべきなのか、ということについて解説します。

今回の記事は、外国人の雇用を考えている企業様に向けて、採用するときにチェックするべきことを書いていきます。なにも知らずに雇用をしてしまうと、会社も罪に問われてしまう場合があります。

そのようなケースを避けるためにも、注意すべき点をまとめていきたいと思います。

在留資格とは?

まず、在留資格について説明していきます。在留資格とは、3ヵ月以上日本に滞在をしている外国人の方がもっている資格のことです。

在留資格は約30種類あり、身分または地位に基づく在留資格と活動内容に基づく在留資格と大きく分けて2つに分けられます。

身分または地位に基づく在留資格

以下の在留資格には就労制限がありません。よって、どのような仕事にも就くことが出来ます。

  • 「永住者」
  • 「定住者」
  • 「日本人の配偶者等」
  • 「永住者の配偶者等」

採用を考えている方が、これらの在留資格を持っている場合、比較的安全に雇用することができます。

特に就労制限がありませんので、もちろんフルタイムで、かつ、どのような仕事内容でも働くことが出来ます。(日本で適法に営業されている業種であればです。)

活動内容に基づく在留資格

こちらの在留資格はさらに、«就労可能»な在留資格か«就労不可能»な在留資格かに分けることが出来ます。

◯就労可能な在留資格

  • 「教授」
  • 「芸術」
  • 「医療」
  • 「技能」
  • 「技術・人文知識・国際業務」
  • 「特定技能」

※他にもありますが、雇用する機会の多い在留資格を記載しています。

◯就労不可能な在留資格

  • 「文化活動」
  • 「家族滞在」
  • 「短期滞在」
  • 「研修」
  • 「留学」

«就労可能»な在留資格は、それぞれ就労制限があるので注意してください。在留資格の内容に沿わない仕事内容をさせてしまうと、不法就労助長罪が成立してしまいます。

例えば、転職の場合などで、これまで行っていた仕事内容と異なる仕事内容を行う場合(例えば、調理師として働いていた方を事務員として雇用する場合)は、在留資格変更申請を行う必要があります。

そして、«就労不可能»な在留資格は、【資格外活動許可】を受けている場合であれば週28時間以内の就労が可能となります。【資格外活動許可】を受けているかどうかは、在留カードの裏面を確認してください。

在留資格を確認する

外国人の雇用にあたり、まずは外国人の方が携帯している在留カードを確認します。

⭐︎3ヶ月以上日本に滞在をしている外国人の方は、原則在留カードを常時携帯しています。

もし、その方の在留資格が【永住者】、【日本人の配偶者等】、【永住者の配偶者等】、【定住者】のいずれかの場合は、就労制限は特にありません。そのため、仕事内容や勤務時間に縛られることなく働くことができます。

【留学】、【家族滞在】、【特定活動】の場合は、就労不能資格のため、資格外活動許可を受けていないと就労ができません。

資格外活動許可を受けているかどうかは、在留カード裏面の下を確認します。

 

資格外活動許可欄に、《許可:原則週に28時間以内・風俗営業等の従事を除く》と記載があれば、週28時間以内の就労が可能です。(【留学】の場合のみ、長期休み期間は週40時間以内の就労が可能です。)

また、他に【技術・人文知識・国際業務】や、【特定技能】などの就労活動が限定されている在留資格があります。これらの、在留資格で許可された範囲を超えた活動をしてしまうと、不法就労となってしまいます。また、外国人だけではなく、事業主側にも不法就労助長罪が成立してしまいます。

そのため、仕事内容・労働時間と雇用する外国人の方の在留資格がマッチしているかどうかというのはとても重要なポイントです。

もし、マッチしていない場合は、在留資格変更許可申請。もしくは、資格外活動許可申請をするなどの手続きが必要です。当事務所では初回相談無料となっておりますのでお気軽にご相談ください。

在留期間を確認する

こちらも、在留カードを見て確認します。

在留カードの表面には在留期間が書かれています。期限が過ぎる前には必ず在留カードの変更・更新手続きが必要となるので、事業者の方は、必ずコピーを取り、在留カードの期限を管理してください。

在留期限が1日でも過ぎると、不法滞在となってしまいます。在留期限が満了する日以前の3ヵ月前から更新申請することができますので、なるべく早めに更新申請または変更申請をするようにしてください。

万が一、すでに在留期限が過ぎてしまっている場合は、直ちに出入国管理局へ出頭するように指示をしてください。期間の経過が短く、やむを得ない場合には、更新許可がされる可能性があります。

また、捕まってしまうと退去強制となり、5年間は日本に入国することが出来なくなってしまいます。自ら出頭することで来日できない期間が短縮され、かつ、収容されることを避けられる場合があります。当然、在留カードの期限が過ぎている(不法滞在)外国人の方を雇うことはできません。

雇用条件について

外国籍の従業員は、安い給料で雇うことが出来る。もし、このような考えを持っている事業主の方は考えを改めなければいけません。

なぜなら、就労ビザ取得のための条件として、《日本人と同等以上の給与を受けること》という条件があるからです。そのため、同じ経験年数で同じ仕事内容を行っている日本人従業員がいる場合には、その者よりも低い給与を設定することは出来ません。

また、雇用期間も、短期間ではビザを取得することは難しいです。長期的に安定して働ける条件である必要があります。さらに、その外国籍従業員が行う十分な仕事量があることが求められます。

そして、当たり前ではありますが、労働基準法などの労働関係法令に沿った雇用条件でなければなりません。外国籍だから、長時間働かせても良い、保険に加入しなくても良い、なんてことはありません。

出入国在留管理局への届出(企業側)

では、実際に外国人の方を雇用することになったときに、出入国在留管理庁へ行わなければいけない手続きがあります。

入社した時と退職をした時には14日以内に、『中長期在留者の受入れに関する届出』を最寄りの出入国在留管理局に提出する必要があります。

こちらの届出は必ず行うようにしてください。提出が難しい場合は、専門家に依頼をすることも可能です。

雇用する際に必要な書類(企業側)

正社員として外国籍の方を雇用する際には、在留資格変更申請または在留資格認定証明書交付申請を行う場合があります。その際に、企業側が求められる資料として代表的な資料をまとめました。

・直近の決算報告書
会社の安定性、継続性を示す書類として提出をします。赤字決算であり、倒産の危機がある会社では外国人の方を雇用することはできません。

・雇用契約書
労働基準法に違反していないことや同じ条件で働く日本人がいる場合はその者と同等以上の給与水準である必要があります。

・雇用に至った経緯を説明する文書
外国人の方を採用するに至った経緯を丁寧に説明していきます。こちらの書類は専門家に依頼をすれば作成してもらうことが可能です。特に指定のフォーマットはありません。確実に許可を取りたい場合は専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

今は外国人の方の労働力が欠かせない時代となっています。外国人の方も事業主の方もお互いに安心して雇用関係が築けるように、特に注意すべき点をまとめました。

もし不安なこと、分からないことがありましたらお気軽にご相談ください!

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